試合になると練習どおりに打てない、負けが続いて自信がなくなった、練習しているのに上手くなった気がしない、ペアと噛み合わない——バドミントンを続けていると、技術より気持ちの問題でつまずく場面が何度も来ます。
この記事では、よくある5つの場面ごとに「その場でできること」と「練習のうちに準備しておくこと」をまとめました。気合いや根性の話ではなく、明日の練習や次の試合で試せる具体的な手順に絞っています。
試合で緊張して力が出ないとき
緊張は「なくす」より「付き合う」
緊張は「失敗したくない」「うまく見せたい」という気持ちから生まれます。大事な試合ほど強くなるのは自然なことで、完全に消すことはできません。目標は「緊張しない」ではなく、緊張したままでも、いつものプレーに近づけることです。
試合の前にやっておくこと
- 段取りを前日までに決める:持ち物、会場までの移動、到着時刻、アップの内容。当日に迷う要素を減らしておくと、そのぶん試合に意識を向けられます
- サーブ前のルーティンを決める:シャトルの羽を整える、2回見る、足を踏みかえる、など毎回同じ動作を入れる。試合だけでやっても身につかないので、普段の練習から続けます
- 目標を「結果」ではなく「やること」にする:「勝つ」ではなく「サーブを低く入れる」「クリアを奥まで返す」のように、自分で決められることを1〜2個に絞ります
当日のアップの例
- 会場に着いたら、軽いジョギングと、肩・股関節を大きく動かすストレッチで体を温める
- 基礎打ちでは、クリア→ドライブ→ヘアピン→スマッシュ→サーブの順に、試合で使うショットを一通り打っておく
- 最後にサーブを数本、試合と同じルーティンで打つ
- 試合までに時間が空くときは上着を着て、体を冷やさない
その場で落ち着く方法
- 呼吸を数える:4秒で吸う→7秒止める→8秒で吐く、を3〜5回。呼吸を数えている間は、結果のことを考えずに済みます
- 次の1球だけを考える:点差や相手の顔ではなく「次のレシーブをどこに返すか」だけに意識を絞る
- 短い言葉を決めておく:「練習してきた」「次いこう」など、自分に向けて言う言葉を1つ決めておく
| 試合中のサイン | その場でできること |
|---|---|
| 手が震える・力が入る | グーパーを数回くり返してグリップを握り直す |
| 呼吸が浅い | ラリーの合間に大きく吐き切る |
| 視野が狭い | 遠くの壁や天井を一度見てからコートに戻る |
| ミスが続く | シャトルを拾うまでの時間を使って、次の1球の狙いを1つ決める |
| 足が止まる | その場で小さく跳ねてリズムを戻す |
練習のうちに準備しておく
- 練習試合を「本番と同じつもり」でやる(点数を声に出す、ルーティンも入れる)
- 苦手な状況(リードされた終盤、相手のサーブから始まる場面など)を意図的に作って練習する
- 練習後に「緊張した場面」と「そのとき何をしたか」を1行だけメモしておく
- 小さな大会や練習会の試合に出て、場慣れを重ねる。大会の探し方と申し込みの流れはバドミントン大会の出方にまとめています
連敗から立て直す
まず原因の種類を分ける
負けが続くときは、原因がどこにあるかで打つ手が変わります。
- 技術:フォームが崩れている、新しく覚えたショットがまだ安定しない
- 気持ち:自信がなくなり、無難に返すだけのプレーになっている
- 環境:対戦相手のレベルが上がった、ペアが変わった
立て直しの手順
- 負けを事実として受け止める:言い訳や相手のせいにしている間は、次の手が決まりません
- 負けたパターンを書き出す:どんな点の取られ方が多かったか(スマッシュを決められた、サーブミス、バック奥を突かれた等)。感情と切り離して、回数で見ます
- 直すのは1つだけ:いちばん多い失点パターンを1つ選び、そこだけを重点的に練習します。例:フォア奥のクリアが浅い→クリアを奥まで返す練習に絞る
- 小さな「できた」を作る:練習試合で1ゲーム取る、狙った1球を決める、など。勝つ感覚を少しずつ取り戻すのが先です
振り返りメモの例
| 項目 | 書くこと |
|---|---|
| 失点の内訳 | 自分のミス/決められた/その他、を正の字で数える |
| いちばん多い失点 | 例:バック奥に追い込まれてからの返球が浅い |
| 次の練習でやること | 1つだけ(例:バック奥からのクリアをノックで20本×3) |
| 良かったこと | 1つ以上。悪い点だけを書かない |
連敗中に避けたいこと
- 練習量を急に増やす(疲れがたまって、かえって崩れやすい)
- ラケットやガットを次々に変える(何が原因か分からなくなる)
- 他の人と比べて「才能がない」と決めつける
長く続くときは
何か月も抜けられないときは、上手な人やコーチに一度プレーを見てもらう、スマホで試合を撮って見返す、いつもと違うサークルで打ってみる、といった「外からの目」を入れます。思い切って1〜2週間ラケットを置くのも1つの方法です。
上達が止まったと感じるとき
上達は一直線ではなく、しばらく変化を感じない時期と、急に伸びる時期をくり返すのがふつうです。周りも上手くなっていくので、自分が伸びていても勝率が下がることがあります。止まったように感じても、それだけで失敗とは限りません。
伸び悩みの主な原因
- 同じ練習を同じ相手とばかりくり返している
- フォームの癖がそのまま固まっている
- 練習をやりっぱなしで、振り返っていない
- 技術はあるのに、配球や組み立てを考えていない
- 体力・脚力が技術に追いついていない
抜け出すためにできること
- 練習の中身を変える:苦手なショットを集中して練習する、新しいショットを1つ覚える、シングルスとダブルスを入れ替える
- 自分より上手い人と打つ:負けても、配球や球質の違いから得るものが多い
- 動画で見る:スマホで自分のフォームを撮り、上手な選手の動画と見比べる
- 練習ノートをつける:その日の練習内容、うまくいった点・いかなかった点、次回の目標を短く書き、月に1回見返す
- レッスンを受けてみる:独学で気づけない癖は、第三者に見てもらうのが近道です
練習メニューの変え方の例
- 基礎打ちに狙いを足す:いつものクリアを「相手のバック奥まで」とコースを決めて打つ。ドライブは「ネットすれすれ」を意識する
- ノックで苦手だけを出してもらう:苦手なコースや球種だけを続けて出してもらい、本数を決めて打つ
- ゲーム練習にテーマをつける:「サーブはショートだけ」「ドロップを使わない」など制限をつけると、ふだん使わない組み立てを試せます
見落としやすいポイント
道具が今のレベルに合っていないこともあります。重さ・バランス・硬さの選び方はラケットの選び方を参考にしてください。配球の考え方はシングルスの戦術とダブルスのローテーションにまとめています。
成長は「昨日と比べる」より「3か月前と比べる」ほうが見えやすくなります。
続ける気持ちが切れそうなとき
気持ちが下がる主な理由
上達を感じない、仕事や家庭が忙しい、サークルがマンネリ、目標がなくなった、けがや体調で休んでいた——理由がはっきりしていれば、打つ手も決まります。
続けるための習慣
- 目標を3段階で持つ:1か月で新しいショットを1つ、半年で大会で1勝、1年でクラスを1つ上げる、のように近い目標と遠い目標を並べておく
- 仲間との関係を大事にする:「あの人たちに会いに行く」は、いちばん長続きする理由の1つです
- 新しい刺激を入れる:別のサークルに顔を出す、違う種目や大会に出てみる、審判や運営を手伝ってみる
- 振り返る:練習後に1行だけメモし、月末に読み返す
下がり方に合わせた対処
- 少し下がった:1〜2週間休んでみる。休むと「またやりたい」気持ちが戻ることがあります
- しばらく続いている:環境を変える。別のサークル、別の体育館の個人開放、道具の見直しなど
- 理由がはっきりしている:仕事・家庭・人間関係・体調など、原因に合わせて頻度や参加先を調整します
回数を減らしてでも続けているほうが、一度やめてから戻るよりずっと楽です。新しい仲間やサークルの探し方はバドミントン仲間の見つけ方とサークルの選び方を参考にしてください。
ダブルスのペアとうまくいかないとき
声をかける場面は3つ
- 試合の前:前衛・後衛の役割、相手の得意・苦手、サーブの配球、苦しいときの合言葉を確認する
- 試合中:ラリーの合間に短く声をかける
- 試合の後:良かった点と次に試すことを言葉にする
試合中の声かけ
- 良いショットのあと:「ナイス」「いいよ」。できれば「ナイススマッシュ」のように具体的に
- ミスのあと:「ドンマイ」「次いこう」。すぐ次の点に意識を向ける
- ラリー中:「はい」「任せ」(自分が取る合図)、「後ろ」(後衛からの注意)など、2人で意味をそろえておく
- ポイント間の打ち合わせ:「次は左に集めよう」「サーブ低めで」など10秒以内で終わる内容に
ペアを組んだばかりのとき
- 最初にお互いの得意なショットと、苦手なコースを伝え合う
- サーブ・レシーブのあとに、どちらが前に出るかを決めておく
- 2人の真ん中に来た球をどちらが取るかを決める(例:フォア側にいる人が取る)
- 1ゲーム終わるごとに、直すことを1つだけ話す。いくつも言うと、どれも直らないまま終わります
やってはいけないこと
- ミスのあとのため息・舌打ち
- 「だから言ったのに」のような責める言葉
- 無言(ペアには無視されたように感じられます)
- 大事な場面での責任の押しつけ
関係を保つための習慣
- ペアのミスは責めない。自分のミスは「ごめん」とすぐ言う
- 1点ごとにタッチを交わしてリズムを作る
- 練習後に「今日はここが良かった」「次はここを試そう」を1つずつ話す
- 相手のタイプに合わせる:声で盛り上がりたい人には元気に、静かに集中したい人には短く、不安が強い人には否定せず励まし中心に
前衛・後衛の動き方そのものはダブルスのローテーションで解説しています。
よくある質問
試合の前日にやっておくといいことは?
持ち物・移動・到着時刻・アップの内容を決めておくことです。当日に迷う要素が減るぶん、試合そのものに集中しやすくなります。
連敗中は練習を増やしたほうがいいですか?
急に増やすのはおすすめしません。疲れがたまって崩れやすくなります。量より、いちばん多い失点パターンを1つに絞って練習するほうが効果を確かめやすくなります。
ダブルスでペアがミスしたとき、何と声をかければいいですか?
「ドンマイ」「次いこう」など短い言葉ですぐ次の点に意識を向けます。ため息や責める言葉は、次のミスを呼びやすくなります。
まとめ
- 緊張は消すより付き合う。段取り・ルーティン・呼吸・「次の1球」の4つを練習から準備する
- 連敗は原因を分け、失点パターンを1つだけ直し、小さな「できた」を積む
- 伸び悩みは練習内容・相手・動画・ノートで変化をつけ、3か月単位で振り返る
- 気持ちが下がったら休む・環境を変える・頻度を調整する。やめるより続けるほうが楽
- ダブルスは試合前・中・後の声かけをそろえ、ミスを責めない

