ガット(ストリング)はラケットに張る糸で、打球感や反発、コントロール性に大きく影響する消耗品です。ラケットやシューズと違って表からは見えにくいパーツですが、プレーの感覚を大きく左右するため、種類やテンションを知っておくと道具選びの幅が広がります。結論から言うと、初心者はテンション18〜22ポンドの低めから、太さは0.70mm前後の耐久性重視タイプから始めるのがおすすめです。この記事では、ガットの種類・テンションの選び方から、張り替えのタイミング、実店舗での張り替え料金相場まで、まとめて解説します。
※本記事の料金は実店舗の公式サイトで確認できた事例をもとにしています。料金は店舗・地域・時期により異なるため、実際に依頼する際は各店舗にご確認ください。
ガットの種類:太さ・素材による違い
ガットは大きく「太さ」と「構造(素材の組み方)」で特徴が分かれます。
太さ:細いガット(0.65〜0.67mm前後)は反発力が高く、シャトルが飛びやすくスピンもかけやすい一方、切れやすいのがデメリットです。太いガット(0.70mm前後)は耐久性が高く、初心者や練習量が多い人の練習用に向いています。
構造:モノフィラメントは1本の芯をコーティングした構造で、反発力が強く耐久性にも優れます。マルチフィラメントは複数の糸を束ねた構造で、ソフトな打球感とホールド感が特徴です。初心者のうちはどちらか一方に固定して選ぶ必要はなく、店舗で相談しながら気になるものを試してみるとよいでしょう。
| 種類 | 特徴 | 向いている人 |
|---|---|---|
| 細いガット(0.65mm前後) | 反発力が高く飛びやすい/切れやすい | 上級者・打球感を重視したい人 |
| 太いガット(0.70mm前後) | 耐久性が高い/反発はやや控えめ | 初心者・練習量が多い人 |
| モノフィラメント構造 | 反発力・耐久性に優れる | バランス重視の人 |
| マルチフィラメント構造 | ソフトな打球感・高いホールド感 | 打球感を重視したい人 |
ガットの色にも違いはある?
ガットにはさまざまなカラーバリエーションが用意されていますが、色による性能差は基本的にありません。選ぶ基準としては見た目の好みで問題ありませんが、白や淡い色よりも、はっきりした色のほうが打球後にガットの傷みや汚れに気づきやすいという声もあります。デザイン性と実用面の両方から、好みに合わせて選んでみるとよいでしょう。
たて糸とヨコ糸で種類を変える「ハイブリッド張り」
上級者向けの選択肢として、ラケットのたて糸とヨコ糸で異なる種類・太さのガットを組み合わせる「ハイブリッド張り」という方法もあります。例えば、耐久性重視のたて糸と、反発重視の細いヨコ糸を組み合わせることで、耐久性と打球感の両立を狙う考え方です。ただし対応可否は店舗によって異なるため、興味がある場合は依頼先の店舗に事前に相談してみるとよいでしょう。初心者のうちは、まず同じ種類のガットを1本張ってみて、自分の感覚をつかむことを優先するのがおすすめです。何本か張り替えを経験して、太さ・テンション・構造それぞれの違いが分かるようになってから、ハイブリッド張りのような応用的な選択肢を検討しても遅くはありません。
初心者が最初に選びたい組み合わせ
種類が多くて迷う場合は、太さ0.70mm前後・テンション18〜22ポンドの組み合わせから始めるのが無難です。この組み合わせは耐久性が高く、力の弱い人でもシャトルを飛ばしやすいため、多くの初心者向けラケットや教室でも基準として案内されることがあります。慣れてきたら、太さやテンションを少しずつ変えて自分の打ち方に合うものを探っていくとよいでしょう。
ラケットの推奨テンションも確認しよう
ラケットにはそれぞれ推奨されるテンションの範囲が設定されていることが多く、範囲を大きく超えるテンションで張ると、ラケットに負担がかかりやすくなります。ガットのテンションを決める際は、自分のラケットの取扱説明書やメーカー公式サイトに記載された推奨範囲内で選ぶのが基本です。分からない場合は、張り替えを依頼する店舗のスタッフに確認するとよいでしょう。特に中古で購入したラケットや、説明書が手元にない場合は、フレームに直接テンション範囲が印字されていることもあるため、確認してみるとよいでしょう。
テンション(張りの強さ)の選び方
テンションはポンド(lbs)で表され、数値が高いほどコントロール重視、低いほど反発(飛び)重視になります。初心者は18〜22ポンドの低めから始めると、軽い力でもシャトルが飛びやすく、腕への負担も少なめです。慣れてきたら少しずつ上げていくとよいでしょう。
テンションを上げすぎると、ラケットへの負担が大きくなるほか、打球感が硬くなり、腕や肘への負担も増える傾向があります。自己流で極端に高いテンションを選ぶのではなく、慣れないうちはお店のスタッフに相談しながら決めるのがおすすめです。
プレースタイルによっても適したテンションは変わります。スマッシュなどパワー重視のショットを多用する場合はやや高めのテンション、コントロール重視で丁寧に打ちたい場合はやや低めのテンションが合うといわれることもありますが、まずは基準となる18〜22ポンドから試し、自分の感覚に合わせて微調整していくのが無理のない進め方です。季節による気温差も打球感に影響するといわれており、気温が低い時期はガットが硬く感じられやすく、気温が高い時期はやわらかく感じられやすい傾向があります。極端に張り替える必要はありませんが、シーズンによって感覚が変わったと感じたら、テンションの見直しを検討するきっかけにするとよいでしょう。
張り替えのタイミングの目安
ガットは使わなくても徐々にテンションが緩んでいきます。張ってから1時間程度で1ポンド前後緩むともいわれており、時間の経過とともに反発力が落ちていきます。目安として、切れなくても3〜6か月程度で張り替えるとよいとされています。
大会前に張り替える場合は、張った直後は多少の違和感があるため、本番の1週間前後に済ませておくと、コンディションを合わせやすくなります。
ガットが切れる場所にも傾向があります。ラケットの中央付近で切れやすい場合は、シャトルの芯を捉えられている証拠ともいわれます。逆にフレームに近い部分で切れやすい場合は、打点がずれている可能性があるため、フォームを見直すきっかけにもなります。
練習頻度が高い人ほどテンションの緩みや摩耗が早く進むため、月に何度もコートに立つ人は3か月に近いタイミングで、個人開放中心で頻度が低い人は半年に近いタイミングで、といった形で自分の練習量に合わせて目安を調整するとよいでしょう。
張り替えのサインになるチェックポイント
ガットが切れていなくても、次のようなサインが見られたら張り替えを検討するタイミングです。打球時に以前より飛ばなくなったと感じる、ガットの表面がザラついたり毛羽立ったりしている、ガット同士の間隔が指で押すと簡単にずれる、といった状態は、テンションが緩んできているサインといわれています。定期的にラケット面を確認する習慣をつけておくと、切れる前のタイミングで張り替えの判断がしやすくなります。
張り替え料金の相場
ガットの張り替えは、スポーツ店やバドミントン専門店に依頼するのが一般的です。料金は「ガット代(糸そのものの価格)」と「張り工賃(作業料)」の合計で決まります。
実店舗の公式サイトで確認できた例では、大阪市内のスポーツショップ「Brilliant Sports」の場合、バドミントンガットの張り代は800円(店舗のガットを使用する場合)、持ち込みガットの場合は1,000円となっています(2026年7月時点)。ガットとセットになった張り上げ価格の例は以下の通りです。
| ガットの種類 | ゲージ(太さ) | 張り上げ価格(税込) |
|---|---|---|
| BG66 ULTIMAX | 0.65mm | 2,100円 |
| 強チタン | 0.70mm | 2,100円 |
| NANOGY95 | 0.69mm | 2,100円 |
| エクスボルト63/65ゲージ | 0.63mm/0.65mm | 2,100円 |
| エアロバイトゲージ | 0.67mm | 2,200円 |
※上記はBrilliant Sports(大阪市浪速区)公式サイトに掲載された価格を2026年7月時点で確認したものです。工賃・ガット代は店舗により異なるため、他の店舗を利用する場合は各店舗の公式サイトや窓口でご確認ください。
張り替え料金は店舗によって差があり、ガットの種類や工賃の設定も店舗ごとに異なります。今回確認できたのは1店舗の公表例であるため、これを全国共通の相場と断定することはできません。依頼を検討する際は、お近くの店舗の公式サイトや窓口で最新の料金を確認することをおすすめします。会員カードやアプリ会員向けの割引を用意している店舗もあるため、頻繁に依頼する予定がある場合は、そうした特典の有無も確認しておくとお得に利用できることがあります。
自分で張り替えることはできる?
専用のストリングマシンを使えば自分で張り替えることも可能ですが、機材の購入費用がかかるほか、正確なテンションで均一に張るには練習と経験が必要です。ストリングマシンは指定したテンションでガットを固定しながら編み込んでいく機械で、家庭用から店舗用までさまざまなタイプがあります。初めのうちは、スポーツ店やバドミントン専門店に依頼するのが安心です。張り方に慣れていないまま自己流で行うと、テンションにムラが出たり、ラケットのフレームに余計な負担をかけてしまったりする可能性もあります。
頻繁に張り替える人や、細かいテンション調整にこだわりたい人は、将来的に自分で張れるようになることも選択肢のひとつですが、まずは店舗に依頼しながら自分に合ったテンション・ガットの種類を見つけていくのがおすすめです。
店舗に依頼する場合は、ラケットを預けてから受け取りまでに数十分〜数日程度かかることがあります。即日仕上げに対応している店舗もあれば、混雑状況によって日数がかかる店舗もあるため、大会や練習の予定がある場合は、余裕を持って依頼しておくと安心です。特に大会シーズンやイベント前は依頼が集中し、通常より日数がかかることもあるため、早めに予定を確認しておくとよいでしょう。
よくある質問(FAQ)
Q. 初心者はどんなガットを選べばいいですか?
初心者には、耐久性の高い太めのガット(0.70mm前後)を、テンション18〜22ポンドの低めで張るのがおすすめです。慣れてきたら少しずつテンションを上げたり、細いガットを試したりして、自分に合った組み合わせを見つけていきましょう。迷ったときは、購入や張り替えを依頼する店舗のスタッフに、プレースタイルや目的を伝えて相談するのも有効です。
Q. ガットはどれくらいの頻度で張り替えればいいですか?
切れた場合はもちろん、切れていなくても3〜6か月程度を目安に張り替えるとよいとされています。使用頻度が高い人ほど、テンションの緩みも早く進む傾向があります。
Q. 張り替え料金の相場はどれくらいですか?
店舗によって異なりますが、確認できた実店舗の例では張り工賃のみで800円〜1,000円程度、ガット代とあわせた張り上げ価格として2,000円台前半となっていました。正確な料金は依頼する店舗の公式サイトや窓口でご確認ください。
Q. ガットが切れたらすぐに張り替えないといけませんか?
切れたまま使い続けると他のガットに負担が集中し、ラケット自体に影響が出ることもあるため、なるべく早めの張り替えをおすすめします。応急処置として一時的にテープなどで固定する方法もありますが、根本的な対処にはならないため、できるだけ早く店舗で張り替えてもらいましょう。
Q. 自分でガットを張り替えることはできますか?
専用のストリングマシンがあれば可能ですが、均一なテンションで正確に張るには経験が必要です。初めのうちはスポーツ店やバドミントン専門店への依頼をおすすめします。
Q. テンションを上げると何が変わりますか?
テンションを上げるとコントロールがつけやすくなる一方、打球感が硬くなり、反発力はやや落ちる傾向があります。腕や肘への負担も増えやすいため、自己流で極端に上げるのではなく、少しずつ調整するのがおすすめです。
まとめ
ガットは太さと構造によって特徴が分かれ、初心者はテンション18〜22ポンドの低めと、耐久性の高い太めのガットから始めるのがおすすめです。切れなくても3〜6か月を目安に張り替えを検討し、料金は店舗により異なるため、依頼前に公式サイトや窓口で確認しておくと安心です。ガットの状態は打球感や上達のスピードにも関わってくるため、ラケットやシューズと同様に、定期的なメンテナンスの一つとして意識しておくとよいでしょう。まずは店舗に相談しながら、自分に合ったガットとテンションを見つけていきましょう。

