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ガットの張り替えを店に頼み続けていると、「自分で張れたら安くなるのでは」と考える人もいると思います。部活やサークルで、何本ものラケットの張り替えを任されている人もいるかもしれません。
この記事では、自分でガットを張るのに必要な道具と費用、全体の流れ、失敗しやすい点を説明します。店に頼む場合の料金や店の選び方は、ガットの張り替えガイドにまとめています。
結論:自分で張るのが向く人・向かない人
自分でガットを張るのが向いているのは、次のような人です。
- 部活やサークルで、何本ものラケットを定期的に張り替える人
- ガットがよく切れて、張り替えの回数が多い人
- ガットの種類やテンションを細かく試したい人
反対に、次のような人は店に頼むほうが合っています。
- 張り替えが年に数回程度の人
- 道具をそろえる初期費用をかけたくない人
- 作業に慣れるまでの時間を取れない人
自分で張るには、ガット張り機(ストリングマシン)という専用の機械が必要です。メーカー公式で価格を確認できるゴーセンのバドミントン専用機は13万円台で、ほかにオープン価格(メーカーが希望小売価格を決めていない)の分銅式の張り機もあります。いずれにしても、ほかの道具と比べると大きな出費です。張り替えの回数が多い人ほど元が取りやすく、少ない人ほど店に頼むほうが負担は小さくなります。
また、張る作業には慣れが必要です。最初のうちは時間がかかり、張り直すこともあります。「安くしたい」だけでなく、「作業そのものを覚えたい」という気持ちがあるかどうかも、判断の分かれ目になります。
自分で張るのに必要な道具
| 道具名 | 役割 | 必須か | 価格帯 |
|---|---|---|---|
| ガット張り機 | ラケットを固定し、ガットに決まった強さの張力をかける | 必須 | 機種による(ゴーセンのバドミントン専用機は13万円台。業務用はさらに高い) |
| クランプ | 張力をかけたガットを、ゆるまないように押さえる | 必須(張り機に付属することが多い) | 張り機に付属 |
| スターティングクランプ | 張り始めや、ガットの長さが足りないときに一時的に留める | あると作業しやすい | 1万円台前半 |
| 千枚通し(オウル) | ガットを通す穴を広げたり、ガットを引き出したりする | 必須 | 1,000円台〜 |
| ニッパー | 古いガットや余ったガットを切る | 必須 | 5,000円台〜 |
| ガット(ロール) | 張るガット。100mや200mの長いロールで買うと1張りあたりが安くなる | 必須 | 1万円台〜 |
価格帯は、ゴーセンとヨネックスの公式サイトに掲載されている2026年9月時点の価格をもとにしています。
張り機によっては、工具がセットになっています。たとえば、ゴーセンのバドミントン専用の張り機「オフィシャルストリンガー 200」には、ガットストッパー、アタッチメント、ニッパー、プライヤーグリッパー、ストリンガーオールが入った専用ボックスが付属します。買う前に、何が付属するかを確認してください。
ガットのロール。 自分で張るなら、ガットは長いロールで買うのが一般的です。ヨネックスのBG66アルティマックスの場合、1張り分の単張りは長さ10mで1,000円台後半、100mのロールは1万円台半ばです。単純に10で割ると、1張りあたりは単張りより安くなります。ガットの種類ごとの特徴は、ガットの種類とおすすめで比べています。
長く使うと決めたガットがあるなら、ロールで買っておくと、張り替えのたびにガットを買いに行く手間も減ります。
張り機の種類
ガット張り機は、張力のかけ方によっていくつかの方式に分かれます。
- 分銅式。 おもりの重さで張力をかける方式。構造が単純な方式です。A-WINのAW-M190はこの方式です
- バネ式。 ばねの力で張力をかける方式。ゴーセンのオフィシャルストリンガー 200は「ハンドルスプリング式」とされています
- 電動式。 モーターで張力をかける方式。ゴーセンのオフィシャルストリンガー 25EX(70万円台)や50EX PLUS(オープン価格)のように、店や専門のストリンガーが使う業務用のモデルが中心です
家庭で使うなら、置き場所も考える必要があります。電動式の業務用モデルは、スタンドやターンテーブルを含めると数十kgになります。オフィシャルストリンガー 200は本体6.5kgで、専用ボックスに収納して持ち運べるとメーカーは説明しています。
店に頼む場合と比べた費用の考え方
自分で張ると元が取れるかどうかは、次の式で考えるとわかりやすくなります。
元が取れる回数 = 道具の費用 ÷(店の張り替え工賃 + ガット代の差額)
「ガット代の差額」は、店で単張りのガットを買う場合と、ロールで買って自分で張る場合の、1張りあたりの差です。
たとえば、仮に道具の費用が15万円、店の工賃が1回1,000円、ガット代の差額が1回300円だとすると、15万円 ÷ 1,300円で、約115回で元が取れる計算になります。ここで使った工賃とガット代の差額は計算の例です。ご自身が張り替えを頼んでいる店の工賃と、使っているガットの価格を当てはめてください。
この式で考えると、次のことがわかります。
- 張り替えの回数が多いほど、早く元が取れる。部活やサークルで何本も張る場合は、回数が一気に増える
- 店の工賃が無料や低めの場合は、元を取るまでの回数が大きく増える
- 1人で年に数回しか張らない場合は、張り機の費用を回収するのは難しい
店の工賃は、店によって無料の場合も有料の場合もあります。具体的な料金の比べ方は、冒頭で紹介した張り替えガイドを参考にしてください。
費用のほかに、作業の時間も考えておきましょう。慣れるまでは1本張るのにも時間がかかります。時間をかけてでも自分で張りたいかどうかも、判断材料の1つです。
張り替えの全体の流れ
ここでは、作業の全体の流れだけを説明します。ガットを1本ずつ通す順番や、クランプを使う位置などの細かい手順は、ラケットや張り機によって違います。実際の作業は、張り機の取扱説明書と、ラケットメーカーが公開しているストリンギングパターン(ガットを通す順番と穴の位置)に従ってください。
- 古いガットを切る。 ラケットのフレームに負担がかからないよう、縦と横のガットを中央から外側へ順に切ります
- ラケットを張り機に固定する。 フレームを支える位置を合わせ、ゆがまないように固定します
- 縦のガットを張る。 中央から外側へ向かって縦のガットを通し、1本ずつ張力をかけてクランプで押さえます
- 横のガットを張る。 横のガットを縦のガットに交互にくぐらせながら通し、1本ずつ張力をかけます
- 結ぶ。 最後のガットをフレームの外側で結び、余った部分を切ります
縦と横で張る強さを変える場合の考え方は、ヨネックスが公開しています。テンションの決め方も含めて、ガットのテンションの記事で説明しています。
失敗しやすい点
テンションのかけすぎ。 ラケットごとに推奨テンション(張りの強さ)が決まっています。ヨネックスは、推奨テンションを超えて張るとラケットが破損する原因になると案内しています。張る前に、ラケットに表示された推奨テンションを確認してください。
フレームのゆがみ。 ラケットの固定が不十分なまま張力をかけると、フレームがゆがむことがあります。張り機の説明書に従い、支える位置を正しく合わせてください。
ガットのねじれ。 ガットがねじれたまま張ると、見た目が悪くなるだけでなく、ガットが傷みやすくなる場合があります。通すたびにねじれていないかを確認します。
ガットの傷。 千枚通しで穴を広げるときや、ガットを引き出すときに、ガットに傷をつけることがあります。傷があると、そこから切れやすくなります。
結び目の位置とゆるみ。 結び目がゆるいと、張力が抜ける原因になります。結ぶ位置と結び方は、張り機やラケットの説明に従ってください。
最初は、使わなくなった古いラケットで練習すると、失敗しても困りません。
張り機の選び方と製品
張り機を選ぶときは、次の点を確認してください。
- バドミントンに対応しているか。 テニス専用のものや、バドミントン専用のものがあります
- 方式と価格。 分銅式・バネ式・電動式で、価格と作業のしやすさが変わります
- 付属する工具。 ニッパーやオウルが付属するかどうかで、追加でそろえる物が変わります
- 置き場所と重さ。 使わないときにしまえるか、持ち運ぶ必要があるか
- 保証と修理。 メーカーの保証と、修理の窓口があるか
ここでは、メーカー公式サイトで仕様を確認できた製品を紹介します。
ゴーセン オフィシャルストリンガー 200(AM200)
ゴーセンのバドミントン専用の張り機です。メーカーは「ハンドルスプリング式、安心のフレーム6点サポート」と説明しています。重さは本体6.5kg、ケース2.0kgで、専用ボックスで移動も組み立ても簡単だとしています。
専用ボックスには、ガットストッパー2個、アタッチメント2個、ニッパー、プライヤーグリッパー、ストリンガーオールが付属します。価格は13万円台で、大型・重量物のため別途送料がかかります。
部活やサークルで張り替えを担当し、持ち運べる張り機を探している人に向いています。
A-WIN AW-M190(分銅式・バドミントン専用)
A-WINは、リーニンの国内正規代理店でもあるFUNPORT株式会社の自社ブランドです。AW-M190は、メーカーが「改良型分銅式。コストパフォーマンスに優れたストリングマシン」と説明しているバドミントン専用の張り機です。分銅の力でテンションを調整する単純な仕組みで、360度回転・6点支持でラケットに優しい設計としています。
本体重量は12.0kg、張力範囲は9〜35ポンドです。ガットストッパー2個、プライヤーグリッパー、ガット張り用のキリ、ストリングムーバー、六角レンチなどが付属します。メーカーは、購入日から3年間の部品の無料修理(付属品は対象外)と、保証期間後の有償修理に対応するとしています。組み立てマニュアルや張り方の動画も公開されています。
価格はオープン価格のため、販売店で確認してください。張り機の費用をできるだけ抑えて、自分で張ることを始めたい人の選択肢になります。
ゴーセン スターティングクランプ バドミントン用(GA15B)
張り始めにガットを留めたり、張り終わりにガットの長さが足りなくなったりしたときに使う工具です。ゴーセンは、スターティングクランプの機能はそのままに、バドミントン用に一回り小型化したものと説明しています。価格は1万円台前半です。
オフィシャルストリンガー 200の付属品には、スターティングクランプは含まれていません。作業をしやすくしたい人は、あわせて用意しておくと安心です。
まとめ
- 自分で張るのは、張り替えの回数が多い人や、部活・サークルで何本も張る人に向いている
- 必要な道具は、張り機・クランプ・オウル・ニッパー・ガットのロール
- 元が取れるかは「道具の費用 ÷(工賃+ガット代の差額)」で考える
- 細かい手順は、張り機の取扱説明書とラケットメーカーのストリンギングパターンに従う
- 推奨テンションを超えて張らない
張り替えの回数が多い人は、道具の費用と回数を当てはめて、自分で張るか店に頼むかを決めてください。
一緒に打つ相手を探すなら
自分で張ったラケットは、実際に打って張り具合を確かめるのがいちばんです。練習会やオフ会で、いろいろな人と打ちながら、自分に合うガットとテンションを見つけていきましょう。

