ダブルスは、サークルや練習会でいちばんよく行われる試合形式です。ラリーのルールはシングルスとほとんど同じですが、「次は誰がサーブするのか」「どちらのコートに立つのか」で迷う人がとても多いルールでもあります。
この記事では、ダブルスのルールを、世界バドミントン連盟(BWF)の競技規則に沿って整理します。とくにサーブとレシーブの順番は、得点を1つずつ追いながら説明します。ルール全体の流れは、バドミントンの基本ルールで説明しています。
結論:ダブルスで迷うのはサーブの順番だけ
ダブルスのルールで、シングルスと大きく違うのは次の2つです。
- コートの範囲:ラリー中はシングルスより横に広いコートを使う。サーブのときは、横に広く、奥行きが短い範囲に入れる
- サーブとレシーブの順番:4人のうち、誰がどのサービスコートからサーブし、誰が受けるかが決まっている
とくに迷いやすいのがサーブの順番です。ただ、覚えることは次の3つだけです。
- サーブをする側の点数が0か偶数なら右、奇数なら左のサービスコートからサーブする
- サーブをする側がラリーに勝ったら、同じ人が左右を入れ替わって続けてサーブする
- 受ける側がラリーに勝ったら、得点が入ってサーブ権が移る。このとき、受けていた側の2人は位置を入れ替えない
この3つを押さえておけば、点数を見るだけで「誰がどこからサーブするか」がわかります。次の節から、コートの範囲と順番を順に説明します。
ダブルスのコートの範囲
ダブルスでは、ラリー中とサーブのときで、有効な範囲が違います。
| 場面 | 横の範囲 | 奥の範囲 |
|---|---|---|
| ラリー中 | いちばん外側のサイドライン(ダブルス用) | いちばん後ろの境界線(バックバウンダリーライン) |
| サーブのとき | いちばん外側のサイドライン(ダブルス用) | ダブルス用のロングサービスライン(後ろの境界線より少し手前の線) |
つまり、ダブルスのサーブは、ラリー中より奥行きが短い範囲に入れなければなりません。ロングサーブが後ろの境界線の近くに落ちた場合、ラリー中ならインでも、サーブではアウトになることがあります。
シングルスは反対に、横の範囲が内側のサイドラインまで、奥の範囲が後ろの境界線までです。
サーブのときの前の範囲。 シングルスでもダブルスでも、サーブはネットから近いショートサービスラインより奥に入れる必要があります。ショートサービスラインより手前に落ちたサーブは、反則です。
サーブとレシーブの順番
基本の考え方
競技規則では、ダブルスのサーブとレシーブについて、次のように決められています。
- サーブをする側の点数が0か偶数のときは、右のサービスコートからサーブする
- サーブをする側の点数が奇数のときは、左のサービスコートからサーブする
- サーブをする人と対角のサービスコートにいる人が、サーブを受ける
- 自分たちのサーブでラリーに勝って得点するまで、2人は左右の位置を入れ替えない
これをもとに、ラリーの結果ごとの動きを整理すると、次のようになります。
サーブをする側がラリーに勝ったとき
- サーブをする側に1点が入る
- 同じ人が、もう一方のサービスコートに移ってサーブする(パートナーも左右を入れ替える)
- 受ける側の2人は動かない
受ける側がラリーに勝ったとき
- 受けていた側に1点が入り、サーブ権が移る
- どちらの2人も、左右の位置を入れ替えない
- 新しくサーブをする側の点数が偶数なら右、奇数なら左にいる人がサーブする
つまり、位置を入れ替えるのは「自分たちのサーブでラリーに勝ったとき」だけです。これを覚えておけば、サーブをする人は、点数と今の立ち位置から自然に決まります。
サーブ権が回る順番。 競技規則では、1ゲームの中でのサーブ権の移り方を、次の順番としています。
- ゲームの最初に右のサービスコートからサーブした人
- 最初にサーブを受けた人のパートナー
- 最初にサーブをした人のパートナー
- 最初にサーブを受けた人
- 1に戻る
得点の例で追う
実際に、得点を1ラリーずつ追ってみましょう。Aチームを「A1・A2」、Bチームを「B1・B2」とします。ゲームの最初は、A1が右のサービスコートからサーブし、対角にいるB1が受けます。B2は左、A2は左のサービスコートにいます。
| ラリー | 得点(A-B) | サーブする人 | 立つ位置 | レシーブする人 | ラリーの結果 |
|---|---|---|---|---|---|
| 1 | 0-0 | A1 | 右 | B1 | Aが勝つ → 1-0 |
| 2 | 1-0 | A1 | 左(A1とA2が入れ替わる) | B2 | Bが勝つ → 1-1 |
| 3 | 1-1 | B2 | 左 | A1 | Bが勝つ → 1-2 |
| 4 | 1-2 | B2 | 右(B2とB1が入れ替わる) | A2 | Aが勝つ → 2-2 |
| 5 | 2-2 | A2 | 右 | B2 | Aが勝つ → 3-2 |
| 6 | 3-2 | A2 | 左(A2とA1が入れ替わる) | B1 | ― |
それぞれのラリーで何が起きているかを、順に見ていきます。
- ラリー1(0-0):Aの点数が0(偶数)なので、A1が右からサーブし、対角のB1が受けます。Aがラリーに勝って1-0
- ラリー2(1-0):Aがサーブで得点したので、A1とA2が左右を入れ替えます。Aの点数が1(奇数)なので、A1は左からサーブします。対角にいるのは、左にいるB2です。Bがラリーに勝って1-1になり、サーブ権がBに移ります
- ラリー3(1-1):Bの点数は1(奇数)なので、Bの左のサービスコートにいる人がサーブします。Bは受けていた側だったので位置を入れ替えておらず、左にいるのはB2です。対角にいるのは、左に移っていたA1です。Bが勝って1-2
- ラリー4(1-2):Bがサーブで得点したので、B2とB1が左右を入れ替えます。Bの点数は2(偶数)なので、B2が右からサーブし、対角のA2が受けます。Aが勝って2-2になり、サーブ権がAに移ります
- ラリー5(2-2):Aの点数は2(偶数)なので、Aの右のサービスコートにいる人がサーブします。ラリー2でA1が左に移ったので、右にいるのはA2です。対角のB2が受けます。Aが勝って3-2
- ラリー6(3-2):Aがサーブで得点したので、A2とA1が入れ替わり、Aの点数が3(奇数)なので、A2が左からサーブします。対角にいるのはB1です
サーブをした人の順番は、A1 → B2 → A2 となっていて、上で紹介した「サーブ権が回る順番」のとおりになっています。
迷ったときの確かめ方。 試合中に迷ったら、「サーブをする側の点数が偶数か奇数か」と「前のラリーでサーブをした側が得点したかどうか」を確かめます。サーブ権が移ってきたときは、自分たちは位置を入れ替えていないので、点数に合ったサービスコートにいる人がサーブします。
位置を間違えたときの扱い
競技規則では、次のような間違いを「サービスコートエラー」と呼んでいます。
- 順番ではない人がサーブした、または受けた
- 間違ったサービスコートからサーブした、または受けた
サービスコートエラーに気づいた場合は、シャトルがプレー中でないとき(ラリーが終わったところ)に正しい位置に直し、それまでの点数はそのままにします。つまり、間違いに気づいても、点数をさかのぼって取り消すことはありません。
また、競技規則では、順番ではないのにサーブやレシーブをしたり、同じゲームの中で同じ人が続けて2回サーブを受けたりしてはいけない、とされています。
次のゲームの最初。 次のゲームでは、前のゲームに勝った側のどちらの人が最初にサーブしてもよく、負けた側のどちらの人が最初に受けてもかまいません。
ダブルス特有の反則
ダブルスならではの反則として、次のようなものがあります。
| 反則 | 内容 |
|---|---|
| パートナーと続けて打つ | 同じ側の2人が、続けてシャトルを打つ(2人で1回ずつ触れる) |
| サーブがパートナーに当たる | サーブが、受ける人のパートナーに当たる |
| 視界をさえぎる | サーブのとき、パートナーが、相手のサーブをする人や受ける人から見えないような位置に立つ |
| 順番・位置の間違い | 順番ではない人がサーブやレシーブをする、間違ったサービスコートからサーブする(サービスコートエラー) |
パートナーと続けて打つ反則。 ラリー中、シャトルは両チームが交互に打ちます。同じチームの2人のうち、どちらが打ってもかまいませんが、1人が打ったあと、そのシャトルをパートナーがもう一度打つことはできません。たとえば、1人が打ち損ねて浮いたシャトルを、パートナーが打ち返すと反則になります。
受ける人以外は返せない。 サーブは、対角にいる受ける人が返します。サーブが受ける人のパートナーに当たった場合は、サーブをした側の得点です。サーブが来たときに、パートナーが代わりに打つことはできません。
15点制になると変わること・変わらないこと
バドミントンの点数の方式は、移行期にあります。2026年4月のBWF総会で「3ゲーム×15点制」が承認され、国際大会では2027年1月4日から導入される予定です。日本バドミントン協会は、2026年から主要な大会で段階的に導入し、2027年1月以降はすべての第1種大会に適用すると発表しています。
変わらないこと。 2027年1月から適用されるBWFの競技規則を見ると、ダブルスのサーブとレシーブの順番(偶数なら右・奇数なら左、サーブ側が得点したら入れ替わる)、サービスコートエラーの扱い、コートの範囲は、これまでと同じです。この記事で説明した順番の考え方は、15点制でもそのまま使えます。
変わること。 変わるのは、1ゲームの点数です。BWFの2027年からの競技規則では、1ゲームは15点先取で、14対14になったら2点差がつくまで続け、20対20になったら21点目をとった側が勝ちとされています。ゲーム中のインターバルは、リードしている側が8点に達したときです。
国内の大会で採用される15点制の細かい運用は、日本バドミントン協会のルールブックや大会ごとの要項で定められます。サークルの練習試合や市民大会は、どちらの方式で行うかが大会ごとに違うので、参加する大会の要項を確認してください。
陣形・動き方を知りたい人へ
この記事では、ルールとして決まっていることだけを説明しました。ラリー中に、2人がどう動くか(前後に並ぶ・左右に並ぶ)は、ルールではなく作戦の話です。ダブルスの陣形や動き方は、ダブルスのローテーションの記事とダブルスの戦術の記事で説明しています。
ルールを覚えたら
ダブルスのルールを覚えたら、実際にゲームをして、サーブの順番を体で覚えていきましょう。前後左右に素早く動くダブルスでは、足元の安定も大切です。シューズの選び方は、バドミントンシューズの選び方で説明しています。ダブルスができる体育館や個人開放は、バドミントンオフのトップページから探せます。
まとめ
- ダブルスで迷いやすいのは、サーブとレシーブの順番だけ
- サーブをする側の点数が0か偶数なら右、奇数なら左からサーブする
- 位置を入れ替えるのは、自分たちのサーブでラリーに勝ったときだけ
- 位置や順番を間違えたら、気づいたところで直し、点数はそのまま
- ダブルスのサーブは、ラリー中より奥行きが短い範囲に入れる
- 15点制になっても、サーブの順番の考え方は変わらない。点数の方式は大会の要項を確認する
一緒に打つ相手を探すなら
ダブルスは、一緒に組む相手がいてこそ楽しめる種目です。初心者歓迎の練習会やオフ会で、いろいろな人とペアを組みながら、サーブの順番に慣れていってください。
