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大人になってからバドミントンを始めた人や、サークルに入ったばかりの人にとって、最初のラケット選びは迷いやすいポイントです。店に行くと値段も見た目もさまざまで、「高いほうがいいのか」「何を見ればいいのか」がわかりにくいからです。
この記事では、最初の1本を選ぶときの条件を先に示し、そのうえでメーカーが初級者向けと位置づけている6本を比べます。重さやバランスの意味など、選び方の理屈をもっと知りたい人はラケットの選び方の記事もあわせて読んでください。

結論:最初の1本はこの条件で選ぶ
最初の1本は、次の4つの条件で選ぶと大きく外しません。
- 重さは4U〜5U。 数字が大きいほど軽いラケットです。4U・5Uは軽めの重さで、振り遅れにくく、腕への負担も抑えやすくなります。今回の6本はすべて4Uか5Uです
- バランスはイーブン〜ヘッドライト寄り。 ヘッド(先端)が重すぎないラケットは、ラケットを素早く動かしやすく、レシーブで振り遅れにくくなります。ヘッドヘビー寄りでも、軽量のモデルなら候補になります
- シャフトは柔らかめ〜普通。 柔らかいシャフトはしなりを使ってシャトルを飛ばしやすく、振る力に自信がない人でも奥まで届きやすくなります
- ガット張り上げ済みかどうかを確認する。 「フレームのみ」のラケットは、別にガット代と張り代がかかります。予算を考えるときに見落としやすい点です
この4つは、メーカー自身が初級者向けモデルの特徴として説明している内容とも重なります。たとえばヨネックスはアークセイバー1を「イーブンバランスで扱いやすいエントリーモデル」、ミズノはアクロスピード8を「柔らかい打感とヘッドライトで振りやすいエントリーモデル」と説明しています。
比較表
メーカーが「初級」「エントリー」などと位置づけている現行のラケットから6本を選びました。価格は、メーカー公式の2026年9月時点の価格をもとにした価格帯です。
| 製品名 | メーカー | 重さ | バランス | シャフト | ガット | 価格帯 | 向いている人 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| マッスルパワー9LT | ヨネックス | 4U | 公式に記載なし | 公式に記載なし | 張り上げ済み | 8,000円台 | まず予算を抑えて始めたい人 |
| アークセイバー1 | ヨネックス | 4U | イーブン | 公式に記載なし | フレームのみ | 1万円台半ば | クセのない1本がほしい人 |
| アストロクス33 | ヨネックス | 5U | ヘッドヘビー寄り(ラケットセレクター) | 公式に記載なし(柔らかい打球感と説明) | フレームのみ | 1万円台後半 | 軽さと打ち込みやすさを両立したい人 |
| ナノフレア300 | ヨネックス | 4U | ヘッドライト | 公式に記載なし(柔らかい打感と説明) | フレームのみ | 1万円台後半 | 操作性を重視する人 |
| アクロスピード8 | ミズノ | 4U | ヘッドライト | 公式に記載なし(柔らかい打感と説明) | フレームのみ | 1万円台半ば | 振りやすさを重視する人 |
| フォルティウス80 | ミズノ | 4U | イーブン | 柔らかい | フレームのみ | 1万円台半ば | 柔らかいシャフトで飛ばしたい人 |
- 予算を優先するなら、ガットが最初から張ってあるマッスルパワー9LT。追加のガット代がかかりません
- クセのなさを優先するなら、イーブンバランスのアークセイバー1かフォルティウス80。攻めにも守りにも偏らない設計です
- 振りやすさ(操作性)を優先するなら、ヘッドライトのナノフレア300かアクロスピード8。レシーブやネット前でラケットを動かしやすくなります
迷ったら、まずはこの1本から考えるのが無難です。メーカーが「イーブンバランスで扱いやすいエントリーモデル」と説明していて、4Uで振りやすい設計です。
予算を抑えたい、ガット代を別に払いたくないという人は、張り上げ済みのこちらから始めてください。
初心者のラケット選びで失敗しやすい点
最初のラケット選びで、よくある失敗を具体的に挙げます。どれも「買ってから気づく」ものなので、購入前に確認しておくと安心です。
上級者モデルを買ってしまう。 店頭で目立つのは、トップ選手が使っている上級者向けのモデルです。上級者モデルはシャフトが硬めで、速く強いスイングで性能を発揮するように作られていることが多く、始めたばかりの人が使うとシャトルが飛ばず、かえって打ちにくく感じます。メーカーの製品ページでは、ラケットごとに「初級」「中級」「上級」などの対象レベルが示されていることが多いので、確認してから選んでください。
重いラケットを選んでしまう。 「重いほうが威力が出る」と聞いて、3Uなどの重めのラケットを選ぶ人もいます。重いラケットは、振り切れればシャトルに勢いがつきますが、振り遅れると力が伝わりません。長い時間打っていると腕も疲れやすくなります。重さの違いについては、ラケットの重さと長さの記事で詳しく説明しています。
見た目だけで選ぶ。 色やデザインで選ぶこと自体は悪くありませんが、同じシリーズでもモデルによって重さやバランス、対象レベルが大きく違います。気に入ったデザインがあったら、そのモデルが初級者向けかどうかを確認してください。
ガット代が別にかかることを忘れる。 1万円台以上のラケットの多くは「フレームのみ」で販売されています。ガットを張るには、ガット代と張り代が別にかかります。店によっては張り代が無料になる場合もありますが、ガット代はかかるのが一般的です。予算を決めるときは、ガット込みでいくらになるかを考えてください。たとえば、1万円台半ばのフレームのみのラケットに、1張り1,000円台半ば〜後半のガットを張る場合、ガット代だけで合計は1万円台後半になります。張り代が有料の店なら、さらに工賃が加わります。「ラケットの値段=支払う金額」ではない、と覚えておいてください。
グリップの太さを確認しない。 ラケットにはグリップの太さの表記(G5・G6など)があります。数字が大きいほど細くなるのが一般的です。細すぎるグリップは強く握りしめやすくなるので、手の大きさに合わせて選ぶか、グリップテープで調整してください。
価格帯ごとの違い
初心者向けのラケットは、大きく3つの価格帯に分けて考えるとわかりやすくなります。
5,000円前後〜1万円未満。 ガットが最初から張ってある「張り上げ済み」のモデルが多い価格帯です。今回の6本では、マッスルパワー9LTがこの価格帯にあたります。すぐに使い始められ、追加のガット代もかかりません。まずはバドミントンが続けられるか試したい人に向いています。
1万円前後〜1万5千円前後。 「フレームのみ」で販売され、好きなガットとテンションで張れるモデルが中心になります。今回のアークセイバー1、アクロスピード8、フォルティウス80がこの価格帯です。自分でガットを選べるので、長く使う1本として選びやすい価格帯です。
1万5千円以上。 初級〜中級向けまでカバーするモデルが増えてきます。今回のアストロクス33やナノフレア300は、メーカーが初級に加えて中級も対象レベルに含めているモデルです。上達してからも使い続けやすいのが利点です。
ただし、価格が高いほど初心者に合う、というわけではありません。2万円を超える上級者モデルは、初心者には扱いにくいことが多いので注意してください。
どの価格帯から始めるか迷ったら、練習の頻度で考えるのが1つの方法です。月に1〜2回程度で、まずは続けられるか試したいなら、張り上げ済みの手頃なモデルで十分です。週1回以上通う予定で、長く使う1本を選びたいなら、1万円台のフレームのみのモデルを選び、自分でガットとテンションを決めるほうが、上達に合わせて調整しやすくなります。価格帯ごとの違いは、ラケットの値段の相場の記事で詳しく説明しています。
製品別の解説
マッスルパワー9LT(ヨネックス)
ヨネックスの、ガットが最初から張ってある「張上」モデルです。フレームとシャフトにカーボンを使い、重さは4U、専用ケースが付いています。推奨張力は17〜22ポンドで、ガットが切れて張り替えるときの目安になります。価格帯は8,000円台で、今回の6本の中では最も手頃です。
向いているのは、まず予算を抑えてバドミントンを始めたい人、サークルに入ったばかりで続けられるか試したい人です。ガット代や張り代を別に払う必要がないので、買ったその日から使えます。気をつけたいのは、ヨネックスの公式ショップでは、バランスやシャフトの硬さといった詳しいスペックが公開されていない点です。また、2026年9月時点で公式ショップでは品切れになっていました。
最初の1本を手頃な価格で、ガット込みでそろえたい人に向いています。
アークセイバー1(ヨネックス)
ヨネックスが「シャトルコントロールと楽な飛びを追求。イーブンバランスで扱いやすいエントリーモデル」と説明しているラケットです。公式ショップの対象レベルは、男女とも「初級」に◎が付いています。重さは4U、推奨張力は17〜22ポンド。フレームには高強度カーボン、シャフトにはカーボンを使っています。専用ケース付きで、フレームのみの販売です。
向いているのは、クセのない1本がほしい人です。イーブンバランスは、ヘッド側にも手元側にも偏らないバランスで、攻めにも守りにも対応しやすい設計です。ヘッドライトほど軽快ではなく、ヘッドヘビーほど打ち込み向きでもないので、自分のプレースタイルがまだ決まっていない人に合います。気をつけたいのは、公式ショップではシャフトの硬さが公開されていない点で、店で持って素振りをしてから決めると安心です。価格帯は1万円台半ばです。
迷ったときの基準になる1本として、最初に検討したいラケットです。
アストロクス33(ヨネックス)
ヨネックスが「軽さと柔らかさを追求。柔らかい打球感が球持ちを向上。」と説明しているラケットです。重さは5Uで、今回の6本の中で唯一の5Uです。公式ショップの対象レベルは、男性が「初級◎・中級○」、女性が「初級◎・中級◎」です。推奨張力は18〜23ポンドで、日本製です。
ヨネックスが公開している「ラケットセレクター」では、アストロクス33はヘッドヘビー寄り、柔らかい打球感の側に位置づけられています。軽い5Uでありながらヘッド側に重さがあるので、振りやすさとシャトルに勢いをつけやすさの両方を狙えるラケットです。
向いているのは、軽いラケットで、クリアやスマッシュもしっかり打ちたい人です。気をつけたいのは、5Uは軽いぶん、強いシャトルを受けたときにラケットが押されやすく感じる人もいる点です。重さに不安があれば、4Uのモデルと持ち比べてください。価格帯は1万円台後半です。ヨネックスのほかのモデルとの違いは、ヨネックスのラケット比較でまとめています。
軽さと打ち込みやすさを両方ほしい人に向くラケットです。
ナノフレア300(ヨネックス)
ヨネックスが「ヘッドライトを追求したフレーム設計による抜群の操作性。柔らかい打感で楽に飛ばせるエントリー」モデルと説明しているラケットです。重さは4U、推奨張力は18〜23ポンドです。公式ショップの対象レベルは、男女とも「初級◎・中級○」です。
ヘッドライトのラケットは、ヘッドが軽いのでラケットを素早く動かしやすく、ダブルスの前衛やレシーブの場面で振り遅れにくくなります。一方で、ヘッドヘビーのラケットと比べると、スマッシュの重さは出しにくい傾向があります。
向いているのは、操作性を重視する人、ダブルスで前に出ることが多い人です。後ろからのスマッシュを武器にしたい人は、ヘッドヘビー寄りのモデルとも比べてみてください。価格帯は1万円台後半です。
ラケットを速く動かしたい人、振り遅れが気になる人に向くラケットです。
アクロスピード8(ミズノ)
ミズノが「柔らかい打感とヘッドライトで振りやすいエントリーモデル」と説明しているラケットです。ミズノ公式オンラインショップでは「エントリーモデル(初心者)」のカテゴリに入っています。重さは4U(平均約83g)、バランスはヘッドライト、推奨張力は18〜25ポンドです。素材は高弾性グラファイトとグラファイトで、フレームのみの販売です。
ヨネックスのナノフレア300と同じヘッドライトのラケットで、振りやすさを重視した設計です。推奨張力の上限が25ポンドと少し広いので、上達してテンションを上げたくなったときにも対応しやすくなっています。
向いているのは、振りやすさを重視する人、ヨネックス以外のメーカーも比べたい人です。ミズノの公式オンラインショップでラケットを買う場合、ガットの張り代は無料ですが、ガット代は別にかかると案内されています。価格帯は1万円台半ばです。
振りやすいヘッドライトのラケットを、手頃な価格帯で選びたい人に向いています。
フォルティウス80(ミズノ)
ミズノが「柔らかいシャフトでクリアの飛びもスマッシュの威力も追求した初級者モデル」と説明しているラケットです。ミズノ公式オンラインショップの「エントリーモデル(初心者)」のカテゴリに入っています。重さは4U(平均約83g)、バランスはイーブン、推奨張力は18〜22ポンドです。フルケースが付いています。
今回の6本の中で、メーカーがシャフトの柔らかさをはっきり説明しているラケットです。柔らかいシャフトは、しなりを使ってシャトルを飛ばしやすいので、振る力に自信がない人でも奥まで届きやすくなります。イーブンバランスなので、攻めと守りのどちらにも偏りません。
向いているのは、柔らかいシャフトでシャトルを飛ばしたい人、クセのない1本がほしい人です。推奨張力は18〜22ポンドで、上限はアクロスピード8より低めです。上達してから高いテンションで張りたくなった場合は、この上限に注意してください。価格帯は1万円台半ばです。
クリアが奥まで届きにくいと感じている人に向くラケットです。
大人から始める人・女性が気にしたい点
大人から始める人や女性がラケットを選ぶとき、「女性向け」「軽いほうがいい」と決めつけてしまうことがあります。実際には、性別ではなく、自分のスイングの速さと、無理なく振れる重さで選ぶのが基本です。
軽いラケットは振りやすい一方で、軽すぎるとシャトルに勢いがつきにくくなったり、強いシャトルを受けたときにラケットが押されたりすることがあります。力に自信がない人は5U、ある程度振れる人は4U、というように、重さを1つの目安にしてください。
大人から始めた人は、学生時代にスポーツをしていたかどうかで、振る力にも差があります。周りの人と同じラケットを選ぶ必要はありません。店で実際に持って、何回か素振りをしてみて、重く感じないかを確かめるのが確実です。
店で試すときは、次の3つを確認すると判断しやすくなります。
- 頭の上で10回ほど素振りをして、腕や手首がすぐに重く感じないか
- 胸の前で左右に素早く振ったとき、ラケットの先が遅れてついてくる感じがしないか
- 普段の握り方で持ったとき、グリップが細すぎたり太すぎたりしないか
これらで違和感があれば、重さかバランスが合っていない可能性があります。
また、ヘッドライトとヘッドヘビーの違いも、性別より、どんなプレーをしたいかで選びます。ダブルスで前に出て素早く動きたいならヘッドライト寄り、後ろからクリアやスマッシュを打ちたいならヘッドヘビー寄り、決まっていないならイーブンが目安です。
買ったあとにそろえるもの
ラケットを買ったら、次のものもあわせてそろえておくと安心です。
グリップテープ。 ラケットのグリップには最初から元のグリップが巻いてありますが、上からグリップテープを巻くと、握りやすさを調整でき、汚れたら巻き替えられます。巻き方はグリップテープの巻き方の記事で説明しています。
ガットの張り替え。 フレームのみのラケットを買った場合は、最初にガットを張る必要があります。張り上げ済みのラケットも、ガットが切れたら張り替えます。テンションの決め方はガットのテンションの目安を参考にしてください。
ケース。 今回紹介したラケットの多くは、専用ケースやソフトケース、フルケースが付いています。購入時にケースの有無を確認してください。持ち運びの際にラケットを守るため、使ってください。ヨネックスは、炎天下の車のトランクのような高温の場所にラケットを置くと、変形や破損の原因になると注意しています。夏場は、ケースに入れていても車内に置きっぱなしにしないようにしてください。
まとめ
ラケット以外の道具も含めて、始めるのにかかる費用の全体はバドミントンを始める費用の記事にまとめています。
- 最初の1本は、4U〜5U、イーブン〜ヘッドライト寄り、柔らかめのシャフトが目安
- 「フレームのみ」のラケットは、別にガット代と張り代がかかる
- 上級者モデルや重いラケットは、初心者には扱いにくいことが多い。メーカーの対象レベルを確認する
- 迷ったら、イーブンバランスのアークセイバー1。予算を抑えたいなら張り上げ済みのマッスルパワー9LT
- 性別ではなく、スイングの速さと無理なく振れる重さで選ぶ
最初の1本が決まれば、あとは打ちながら自分に合う重さやバランスが見えてきます。
一緒に打つ相手を探すなら
新しいラケットを買ったら、実際に打ってみるのが一番の練習です。初心者歓迎の練習会やオフ会で、いろいろな人と打ってみてください。

